吸収性メッシュの肺表面縫着による難治性気胸に対する胸膜全面癒着術―LAMの1例

肺リンパ脈管筋腫症 (lymphangioleiomyomatosis, LAM) による難治性気胸に対して, 吸収性メッシュを肺表面に縫着することによる胸膜全面癒着術が奏功した1例を経験したので報告する. 症例は46歳女性で, 右気胸が再発したため来院した. CTでは肺全体にびまん性の多発ブラを認めた. 胸腔鏡下で肺全面に吸収性メッシュ片を適宜吸収糸で縫着固定した. 手術時間は50分で, 出血量は少量であった. ブラを含めて1ヵ所の肺生検を併施したが, 術後病理検査でLAMと判明した. 気漏は術直後より消失し, 術翌日に胸腔ドレーンを抜去した. 合併症なく第14病日に退院し, 現在, 無再発...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 19; no. 4; pp. 628 - 631
Main Authors 和田, 洋巳, 植田, 充宏, 大渕, 俊朗, 河下, 太志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2005
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.19.628

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Summary:肺リンパ脈管筋腫症 (lymphangioleiomyomatosis, LAM) による難治性気胸に対して, 吸収性メッシュを肺表面に縫着することによる胸膜全面癒着術が奏功した1例を経験したので報告する. 症例は46歳女性で, 右気胸が再発したため来院した. CTでは肺全体にびまん性の多発ブラを認めた. 胸腔鏡下で肺全面に吸収性メッシュ片を適宜吸収糸で縫着固定した. 手術時間は50分で, 出血量は少量であった. ブラを含めて1ヵ所の肺生検を併施したが, 術後病理検査でLAMと判明した. 気漏は術直後より消失し, 術翌日に胸腔ドレーンを抜去した. 合併症なく第14病日に退院し, 現在, 無再発経過中である. 吸収性メッシュを肺全面に縫着する胸膜癒着術は, 手技が容易である上, 意図した部位に胸膜癒着を効率よく誘導できる点で優れており, LAMなどに起因する難治性気胸に対して有用であると考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.19.628