虚血性小腸炎(狭窄型,壊死型)の2例

虚血性小腸炎は稀な疾患で,一過性型,狭窄型,壊死型に分類され,一過性型と狭窄型が狭義の虚血性腸炎とされるが, これらは虚血程度の差から生じた重症度の違いだけであると考えられる.狭窄型と壊死型の虚血性小腸炎を経験したので報告する. 症例1は77歳男性.腹痛と嘔吐が出現し保存療法にて改善したが,経口摂取後にイレウス症状が再燃する状態を3回繰り返し,初回発症から52日目紀手術した.回腸が15cmにわたり全周性の壁肥厚と求心性の内腔狭窄をきたし,小腸部分切除術を施行した.病理ではU1-IIの広い潰瘍と高度の線維化を認め,狭窄型の虚血性小腸炎と診断された. 症例2は68歳女性.腹膜刺激症状を伴った腹痛を...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 2; pp. 410 - 414
Main Authors 小林, 正史, 鈴木, 修, 松川, 哲之助, 三村, 耕作
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2001
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.62.2_410

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Summary:虚血性小腸炎は稀な疾患で,一過性型,狭窄型,壊死型に分類され,一過性型と狭窄型が狭義の虚血性腸炎とされるが, これらは虚血程度の差から生じた重症度の違いだけであると考えられる.狭窄型と壊死型の虚血性小腸炎を経験したので報告する. 症例1は77歳男性.腹痛と嘔吐が出現し保存療法にて改善したが,経口摂取後にイレウス症状が再燃する状態を3回繰り返し,初回発症から52日目紀手術した.回腸が15cmにわたり全周性の壁肥厚と求心性の内腔狭窄をきたし,小腸部分切除術を施行した.病理ではU1-IIの広い潰瘍と高度の線維化を認め,狭窄型の虚血性小腸炎と診断された. 症例2は68歳女性.腹膜刺激症状を伴った腹痛を認め緊急手術を施行した.上腸間膜動脈主幹の血流は良好であったが,空腸が15cmにわたり全層性,全周性に出血性壊死をきたしており,小腸部分切除術を施行した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.2_410