出血性ショックをきたした肝硬変患者の外傷性卵巣静脈瘤破裂の1例

症例は59歳,女性.原因不明の肝硬変で前医通院中であった.2008年昼頃,階段で転倒し,左腰部を打撲した.前医受診し,血液検査などにおいて明らかな異常は認めなかったが,疼痛と血圧低下を認めたため,経過観察で入院した.翌朝起立時に意識消失と貧血の進行を認めたため,精査を施行したところ外傷性腹腔内出血と診断され,当院搬送された.当院搬送後,ショック状態となり,緊急開腹手術を行った.開腹時に約2,500mlの血性腹水を認め,左卵巣静脈瘤破裂による出血と診断し,刺通結紮にて止血した.肝硬変症例においてはしばしば異所性静脈瘤として卵巣静脈瘤がみられる.これまで本邦において外傷性卵巣静脈瘤破裂の報告はない...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 12; pp. 3216 - 3218
Main Authors 坂元, 克考, 上原, 正弘, 間中, 大, 馬場, 慎司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.3216

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Summary:症例は59歳,女性.原因不明の肝硬変で前医通院中であった.2008年昼頃,階段で転倒し,左腰部を打撲した.前医受診し,血液検査などにおいて明らかな異常は認めなかったが,疼痛と血圧低下を認めたため,経過観察で入院した.翌朝起立時に意識消失と貧血の進行を認めたため,精査を施行したところ外傷性腹腔内出血と診断され,当院搬送された.当院搬送後,ショック状態となり,緊急開腹手術を行った.開腹時に約2,500mlの血性腹水を認め,左卵巣静脈瘤破裂による出血と診断し,刺通結紮にて止血した.肝硬変症例においてはしばしば異所性静脈瘤として卵巣静脈瘤がみられる.これまで本邦において外傷性卵巣静脈瘤破裂の報告はないため若干の考察を加え,報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.3216