異性間性交渉を契機に感染したアメーバ性肝膿瘍の2例

異性間性交渉を契機に感染したアメーバ性肝膿瘍の2例を経験したため報告する.症例はそれぞれ28歳と29歳の男性で,性風俗店での口肛門性交の経験を有していた.両症例とも慢性の下痢・下血を契機に発症しており,腹部超音波検査,腹部CT検査にて肝S8に膿瘍を認めた.1例は胸腔への穿破を合併していた.膿汁の塗抹検査や糞便からはアメーバ原虫は確認されなかったが,抗アメーバ抗体が陽性であり,メトロニダゾール750 mg-1500 mg/日の内服を開始したところ,速やかに解熱し回復した.海外渡航歴が無くても,20代から60代までの男女で慢性の下痢・下血が認められる場合,性行為感染症としての赤痢アメーバ感染症を念...

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Published in肝臓 Vol. 51; no. 11; pp. 620 - 627
Main Authors 徳永, 志保, 永原, 天和, 米田, 一彦, 藤瀬, 幸, 的野, 智光, 大山, 賢治, 村脇, 義和, 植木, 賢, 前田, 直人, 加藤, 順, 岡野, 淳一, 岡本, 欣也, 杉原, 誉明, 谷本, 匡史, 孝田, 雅彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2010
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.51.620

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Summary:異性間性交渉を契機に感染したアメーバ性肝膿瘍の2例を経験したため報告する.症例はそれぞれ28歳と29歳の男性で,性風俗店での口肛門性交の経験を有していた.両症例とも慢性の下痢・下血を契機に発症しており,腹部超音波検査,腹部CT検査にて肝S8に膿瘍を認めた.1例は胸腔への穿破を合併していた.膿汁の塗抹検査や糞便からはアメーバ原虫は確認されなかったが,抗アメーバ抗体が陽性であり,メトロニダゾール750 mg-1500 mg/日の内服を開始したところ,速やかに解熱し回復した.海外渡航歴が無くても,20代から60代までの男女で慢性の下痢・下血が認められる場合,性行為感染症としての赤痢アメーバ感染症を念頭において,性交渉歴について詳しく問診し,積極的に内視鏡検査の実施やアメーバ抗体を検査し,特に男性には肝膿瘍の合併が多い為に腹部超音波検査を実施する事が大切である.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.51.620