詳細な問診にて診断し得た先天性食道気管支瘻の1例

67歳男性.幼少期に結核と2度の肺炎の既往があった.2006年2月咳嗽と血痰を主訴に当科を受診した.胸部CTで左S6に浸潤影と拡張した気管支像を認め,血中アスペルギルス抗原とβ-Dグルカンが増加していた.当初,小児期の肺結核による続発性気管支拡張症に,アスペルギルス感染が併発したものと診断し保存的治療を行った.その後,血痰を繰り返し肺病変は拡大した.初診から3年経過した再発時の問診で,35歳頃から飲食時の咳嗽を認め,検診で食道瘻を指摘されていたことが判明した.食道造影検査により食道気管支瘻と診断し手術を施行した.比較的稀な先天性食道気管支瘻は,詳細な問診が発見の契機となり,食道造影検査が診断に...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 25; no. 5; pp. 491 - 496
Main Authors 田村, 光信, 櫛部, 圭司, 川口, 剛史, 永井, 康晴, 中島, 宏和, 澤口, 博千代
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2011
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.25.491

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Summary:67歳男性.幼少期に結核と2度の肺炎の既往があった.2006年2月咳嗽と血痰を主訴に当科を受診した.胸部CTで左S6に浸潤影と拡張した気管支像を認め,血中アスペルギルス抗原とβ-Dグルカンが増加していた.当初,小児期の肺結核による続発性気管支拡張症に,アスペルギルス感染が併発したものと診断し保存的治療を行った.その後,血痰を繰り返し肺病変は拡大した.初診から3年経過した再発時の問診で,35歳頃から飲食時の咳嗽を認め,検診で食道瘻を指摘されていたことが判明した.食道造影検査により食道気管支瘻と診断し手術を施行した.比較的稀な先天性食道気管支瘻は,詳細な問診が発見の契機となり,食道造影検査が診断に有用であると考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.25.491