腹膜播種性転移を伴う大腸癌の治療成績と治療方針

腹膜播種性転移を伴う大腸癌症例を検討し,治療方針を明らかにすることを目的とした.初発大腸癌の6.9%に腹膜播種性転移を認め,そのうち予後の明らかな90例を対象とし,臨床病理学的因子と予後につき検討した.腹膜播種性転移の程度別の生存期間中央値はP1で21.0カ月,P2で8.4カ月,P3で3.4カ月であった.非治癒因子数別では,腹膜因子のみの予後が良好であった.根治度別では根治度BがCに比べて良好であった.原発巣切除の有無別では切除例が良好であった.化学療法の有無別では施行例が良好であった.原発巣切除および化学療法の有無の組み合わせでみると,共に施行した例の予後は他に比べ良好で,共に施行しなかった...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 10; pp. 2468 - 2473
Main Authors 梅原, 有弘, 小川, 健治, 横溝, 肇, 藤本, 崇司, 大谷, 泰介, 吉松, 和彦, 渡邊, 清, 板垣, 裕子, 松本, 敦夫, 大澤, 岳史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.2468

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Summary:腹膜播種性転移を伴う大腸癌症例を検討し,治療方針を明らかにすることを目的とした.初発大腸癌の6.9%に腹膜播種性転移を認め,そのうち予後の明らかな90例を対象とし,臨床病理学的因子と予後につき検討した.腹膜播種性転移の程度別の生存期間中央値はP1で21.0カ月,P2で8.4カ月,P3で3.4カ月であった.非治癒因子数別では,腹膜因子のみの予後が良好であった.根治度別では根治度BがCに比べて良好であった.原発巣切除の有無別では切除例が良好であった.化学療法の有無別では施行例が良好であった.原発巣切除および化学療法の有無の組み合わせでみると,共に施行した例の予後は他に比べ良好で,共に施行しなかった例は他に比べ不良であった.多変量解析では根治度,原発巣切除の有無,化学療法の有無が独立した因子であった.腹膜播種性転移を伴う大腸癌の治療は,原発巣を切除し,化学療法を行うことが有効と考えられる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.2468