骨形成不全症に併存した大動脈弁閉鎖不全症の1例

症例は48歳,女性.小児期に数回の骨折歴があり,身長は143cmと低身長で,青色強膜を認め骨形成不全症と診断されていた.40歳の検診時に大動脈弁閉鎖不全症と診断されていた.血液・凝固系に明らかな異常はなかった.心臓超音波検査,心臓カテーテル検査ではIII度の逆流を認めた.大動脈弁置換術(On-X 25mm)を施行した.心房中隔欠損症で開胸手術歴があり,また骨形成不全症による組織の脆弱性があり,手術には注意を要した.大動脈弁は全体的に菲薄化した弁尖であった.病理学的所見では,弁尖および大動脈中膜にムコイドの沈着を認めた.術後経過は良好で,軽快し退院した.骨形成不全症に心血管疾患を合併することは類...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 10; pp. 2539 - 2542
Main Authors 畑地, 登志子, 河内, 寛治, 今川, 弘, 流郷, 昌裕, 塩崎, 隆博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.2539

Cover

More Information
Summary:症例は48歳,女性.小児期に数回の骨折歴があり,身長は143cmと低身長で,青色強膜を認め骨形成不全症と診断されていた.40歳の検診時に大動脈弁閉鎖不全症と診断されていた.血液・凝固系に明らかな異常はなかった.心臓超音波検査,心臓カテーテル検査ではIII度の逆流を認めた.大動脈弁置換術(On-X 25mm)を施行した.心房中隔欠損症で開胸手術歴があり,また骨形成不全症による組織の脆弱性があり,手術には注意を要した.大動脈弁は全体的に菲薄化した弁尖であった.病理学的所見では,弁尖および大動脈中膜にムコイドの沈着を認めた.術後経過は良好で,軽快し退院した.骨形成不全症に心血管疾患を合併することは類縁遺伝性結合織疾患に比べ稀であるが,報告によると手術死亡率が高く,遠隔期に心不全で死亡した例もあるため,今後も注意深い経過観察が必要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.2539