7 日本における野生動物からの野兎病菌の分離記録

野兎病は細菌性の人畜共通感染症の一つで, 野兎病菌はさまざまな種類の動物への感染が知られている. 日本ではヒトヘの感染源の90%以上を占めるノウサギが注目されてきた, われわれは日本の野生動物における野兎病菌の感染状況を把握するための基礎資料の一つとして, 菌分離例と未発表資料の総括を試みた. これまでに収集し得た分離例は, 哺乳類がノウサギ71例とヒミズ1例, 鳥類がキジ1例, ヤマドリ2例およびカラス(種類不詳)2例, マダニ類は49例中, 現在の分類体系に該当しない不明種34例, キチマダニ12例およびシュルツェマダニ3例, ツツカムシ類がシライタマツツガムシ2例とメイソンワルヒツツガム...

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Published inMedical Entomology and Zoology Vol. 49; no. 2; p. 138
Main Authors 藤田, 博己, 渡辺, 百合子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生動物学会 1998
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ISSN0424-7086
2185-5609
DOI10.7601/mez.49.138_4

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Summary:野兎病は細菌性の人畜共通感染症の一つで, 野兎病菌はさまざまな種類の動物への感染が知られている. 日本ではヒトヘの感染源の90%以上を占めるノウサギが注目されてきた, われわれは日本の野生動物における野兎病菌の感染状況を把握するための基礎資料の一つとして, 菌分離例と未発表資料の総括を試みた. これまでに収集し得た分離例は, 哺乳類がノウサギ71例とヒミズ1例, 鳥類がキジ1例, ヤマドリ2例およびカラス(種類不詳)2例, マダニ類は49例中, 現在の分類体系に該当しない不明種34例, キチマダニ12例およびシュルツェマダニ3例, ツツカムシ類がシライタマツツガムシ2例とメイソンワルヒツツガムシ2例, シラミ類(種類不詳)が2例の合計132例である. 哺乳類と鳥類の分離例はほとんどがへい死個体で, また菌分離陽性の節足動物の大部分は, 菌陽性のへい死個体に寄生していたものであった. ただし, マダニ類からの分離例の中には植生上から採集された未吸血個体由来の7例が含まれる.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.49.138_4