SGLT2阻害薬内服中に感冒を契機に正常血糖ケトアシドーシスをきたした 1型糖尿病の1例

50歳代の女性,抗GAD(glutamic acid decarboxylase)抗体陽性インスリン依存状態の1型糖尿病に対し,持続皮下インスリン注入療法を行っていた.糖尿病発症前からの肥満が問題であり,1年前よりSGLT2(sodium/glucose cotransporter 2)阻害薬の内服を開始した.数日前より感冒症状があり,食事は摂取できなかったが,少しずつ経口摂取していたためSGLT2阻害薬内服は継続していた.嘔気と倦怠感が増悪し受診,血糖269 mg/dlであったが,ケトアシドーシスを認め入院,ブドウ糖とインスリンを同時に持続静注開始.速やかに症状が改善し翌日退院した.SGLT...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 111; no. 2; pp. 283 - 289
Main Authors 土居, 寿之, 八島, 千恵, 山本, 晋, 吉田, 沙希子, 近藤, しおり, 福岡, 富和, 岡田, 貴典, 鈴木, 将史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 10.02.2022
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.111.283

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Summary:50歳代の女性,抗GAD(glutamic acid decarboxylase)抗体陽性インスリン依存状態の1型糖尿病に対し,持続皮下インスリン注入療法を行っていた.糖尿病発症前からの肥満が問題であり,1年前よりSGLT2(sodium/glucose cotransporter 2)阻害薬の内服を開始した.数日前より感冒症状があり,食事は摂取できなかったが,少しずつ経口摂取していたためSGLT2阻害薬内服は継続していた.嘔気と倦怠感が増悪し受診,血糖269 mg/dlであったが,ケトアシドーシスを認め入院,ブドウ糖とインスリンを同時に持続静注開始.速やかに症状が改善し翌日退院した.SGLT2阻害薬内服中,インスリン依存状態では,経口摂取量減少時に正常血糖ケトアシドーシス(euglycemic diabetic ketoacidosis:euDKA)を起こす可能性があることを念頭に置く必要がある.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.111.283