IgG4関連疾患の病態および診断と治療

IgG4(immunoglobulin G4)関連疾患は,血清IgG4高値に加え,著明なIgG4陽性形質細胞浸潤により,種々の臓器腫大と線維化を来たす全身性疾患であり,我が国でその疾患概念が確立された.2011年には診断基準が策定され,2014年には我が国の指定難病に指定されている.IgG4関連疾患の病態には,自己免疫や自然免疫の関与が考えられているが,現在のところ,明らかになっていない.最近,我々は,臨床症状と関連する自己抗体の存在を明らかにした.診断にはIgG4関連疾患包括診断基準が用いられるが,確定診断が得られない場合でも,臓器毎の診断基準により診断が可能である.最も重要なことは,悪性疾...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 110; no. 2; pp. 295 - 300
Main Authors 塩川, 雅広, 児玉, 裕三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 10.02.2021
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.110.295

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Summary:IgG4(immunoglobulin G4)関連疾患は,血清IgG4高値に加え,著明なIgG4陽性形質細胞浸潤により,種々の臓器腫大と線維化を来たす全身性疾患であり,我が国でその疾患概念が確立された.2011年には診断基準が策定され,2014年には我が国の指定難病に指定されている.IgG4関連疾患の病態には,自己免疫や自然免疫の関与が考えられているが,現在のところ,明らかになっていない.最近,我々は,臨床症状と関連する自己抗体の存在を明らかにした.診断にはIgG4関連疾患包括診断基準が用いられるが,確定診断が得られない場合でも,臓器毎の診断基準により診断が可能である.最も重要なことは,悪性疾患や他の類似疾患を除外することである.IgG4関連疾患はステロイドが奏効するため,有症状例にはステロイド治療が標準治療法となっている.一方,海外では,B細胞特異的治療薬であるリツキシマブが使用されるようになってきた.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.110.295