小児に発生した耳下腺分泌癌

症例は10歳,男児。乳児期より右耳下部腫瘤を認めており,緩徐な増大を認めたため受診した。右耳下腺に無痛性で可動性良好な腫瘤を触知し,顔面麻痺は伴っていなかった。造影CTで右耳下腺に辺縁が造影される囊胞性腫瘤を認めた。細胞診では悪性所見を認めず,診断と治療を目的に耳下腺部分切除術を施行した。病理診断でETV6::RET融合遺伝子が検出され,分泌癌の診断に至った。切除断端は陰性であり,術後1年の経過で明らかな再発を認めていない。唾液腺分泌癌ではETV6::NTRK3融合遺伝子が主にみられると報告されており,小児発症でETV6::RET融合遺伝子が検出された自験例は非常に稀であると考えられる。...

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Published in頭頸部外科 Vol. 33; no. 2; pp. 185 - 190
Main Authors 山下, 拓, 宮本, 俊輔, 星野, 昭芳, 大原, 卓哉, 萩原, 康平, 長尾, 俊孝, 松木, 崇, 吉田, 功
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2023
Subjects
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.33.185

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Summary:症例は10歳,男児。乳児期より右耳下部腫瘤を認めており,緩徐な増大を認めたため受診した。右耳下腺に無痛性で可動性良好な腫瘤を触知し,顔面麻痺は伴っていなかった。造影CTで右耳下腺に辺縁が造影される囊胞性腫瘤を認めた。細胞診では悪性所見を認めず,診断と治療を目的に耳下腺部分切除術を施行した。病理診断でETV6::RET融合遺伝子が検出され,分泌癌の診断に至った。切除断端は陰性であり,術後1年の経過で明らかな再発を認めていない。唾液腺分泌癌ではETV6::NTRK3融合遺伝子が主にみられると報告されており,小児発症でETV6::RET融合遺伝子が検出された自験例は非常に稀であると考えられる。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.33.185