総頸動脈に仮性動脈瘤を生じた下咽頭癌化学放射線療法後の3例

頭頸部癌に対する化学放射線療法は広く行われている治療であるが,稀に合併症として仮性動脈瘤が形成されることがあり,破裂すると致死的な転機をとる。下咽頭癌の化学放射線療法後に総頸動脈の仮性動脈瘤破裂を生じた3症例を経験した。全例で総頸動脈の温存はできず,2例は脳梗塞を発症し寝たきりとなった。1例は初期治療として血管内治療を行い,その後喉頭壊死の治療と再出血予防のため遊離空腸再建を用いた咽頭喉頭食道摘出術と総頸動脈の合併切除を施行した。事前に脳梗塞リスク評価を行い,脳梗塞を発症することなく独歩で退院した。治療は初期止血だけでなく,再出血予防と脳梗塞のリスクを考慮することが重要である。...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in頭頸部外科 Vol. 33; no. 3; pp. 393 - 400
Main Authors 花澤, 豊行, 福本, 一郎, 米田, 理葉, 亀田, 茜, 新井, 智之, 木下, 崇, 栗田, 惇也, 鈴木, 猛司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.33.393

Cover

More Information
Summary:頭頸部癌に対する化学放射線療法は広く行われている治療であるが,稀に合併症として仮性動脈瘤が形成されることがあり,破裂すると致死的な転機をとる。下咽頭癌の化学放射線療法後に総頸動脈の仮性動脈瘤破裂を生じた3症例を経験した。全例で総頸動脈の温存はできず,2例は脳梗塞を発症し寝たきりとなった。1例は初期治療として血管内治療を行い,その後喉頭壊死の治療と再出血予防のため遊離空腸再建を用いた咽頭喉頭食道摘出術と総頸動脈の合併切除を施行した。事前に脳梗塞リスク評価を行い,脳梗塞を発症することなく独歩で退院した。治療は初期止血だけでなく,再出血予防と脳梗塞のリスクを考慮することが重要である。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.33.393