ヘパリン起因性血小板減少症患者の大血管手術周術期抗凝固管理

亜急性期ヘパリン起因性血小板減少症 (HIT) 患者に対する腹部大動脈人工血管置換術の周術期抗凝固管理を行った. 患者はワルファリン単剤で良好に抗凝固管理されていたが, 腹部大動脈血栓の融解は得られず手術となった. ワルファリンは術当日まで継続しPT-INRは2.58と高値であったが, 大動脈遮断前の抗凝固能としては不十分であったため, アルガトロバンを持続投与することで無事管理ができた. 術中の臨床的な抗凝固レベルはACTの推移と比較的よく合致していたが, PT-INRのみを指標として抗凝固の調節をするのは困難であった. 亜急性期HIT患者の抗凝固管理においては凝固能検査値の適切な解釈と判断...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 28; no. 7; pp. 951 - 955
Main Authors 駒井, 美砂, 金子, 武彦, 安村, 里絵, 高山, 渉, 小林, 佳郎, 吉川, 保
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2008
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.28.951

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Summary:亜急性期ヘパリン起因性血小板減少症 (HIT) 患者に対する腹部大動脈人工血管置換術の周術期抗凝固管理を行った. 患者はワルファリン単剤で良好に抗凝固管理されていたが, 腹部大動脈血栓の融解は得られず手術となった. ワルファリンは術当日まで継続しPT-INRは2.58と高値であったが, 大動脈遮断前の抗凝固能としては不十分であったため, アルガトロバンを持続投与することで無事管理ができた. 術中の臨床的な抗凝固レベルはACTの推移と比較的よく合致していたが, PT-INRのみを指標として抗凝固の調節をするのは困難であった. 亜急性期HIT患者の抗凝固管理においては凝固能検査値の適切な解釈と判断が重要である.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.28.951