原発性腎カルチノイドの1例

症例は45歳,女性.既往歴に甲状腺機能亢進症があり,内服加療中であった.平成18年12月に嘔気・左下腹部腫瘤自覚し,近医受診した.腹部CTで脾門部~左腎腹側に8cm×10cm大の腫瘤性病変があり,2月1日に左腎摘出術を施行した.手術所見は,12cm大の左腎腫瘍を認めた.副腎動・静脈を処理し,腫瘍と膵尾部・脾との癒着を剥離した.副腎と腫瘍は強固に癒着していたため,一塊として摘出した.出血量は40mlであった.肉眼的所見では,腫瘍の一部は嚢胞状であり,多数の石灰化を伴っていた.白色調充実性で均一であった.病理組織所見でカルチノイド腫瘍と診断された.PET,上部・下部消化管精査で,他の原発巣を認めな...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 6; pp. 1519 - 1523
Main Authors 辻田, 英司, 調, 憲, 安部, 智之, 梶山, 潔, 祇園, 智信, 長家, 尚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.1519

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Summary:症例は45歳,女性.既往歴に甲状腺機能亢進症があり,内服加療中であった.平成18年12月に嘔気・左下腹部腫瘤自覚し,近医受診した.腹部CTで脾門部~左腎腹側に8cm×10cm大の腫瘤性病変があり,2月1日に左腎摘出術を施行した.手術所見は,12cm大の左腎腫瘍を認めた.副腎動・静脈を処理し,腫瘍と膵尾部・脾との癒着を剥離した.副腎と腫瘍は強固に癒着していたため,一塊として摘出した.出血量は40mlであった.肉眼的所見では,腫瘍の一部は嚢胞状であり,多数の石灰化を伴っていた.白色調充実性で均一であった.病理組織所見でカルチノイド腫瘍と診断された.PET,上部・下部消化管精査で,他の原発巣を認めなかった.原発性腎カルチノイドは稀であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.1519