(1→3) -β-D-グルカン高値が遷延した食道手術後の深在性真菌症の2例

(1→3) -β-D-グルカン (以下, β-D-グルカン) 高値が遷延した食道手術後の深在性真菌症の2例を経験した。どちらも術後に, 発熱, CRP値上昇とともに培養でCandidaが検出され, β-D-グルカン高値により抗真菌薬の投与を開始したが, β-D-グルカン値はその後も上昇した。やがて臨床症状は軽快し抗真菌薬の投与を中止したが, β-D-グルカン高値は遷延した。抗真菌薬中止後, 臨床症状の再燃やβ-D-グルカン値の再上昇はみられなかった。今回経験した2症例においてβ-D-グルカン高値が遷延した原因としては, 真菌感染の継続あるいは偽陽性が考えられたが, そのいずれかは不明であった。...

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Published in日本集中治療医学会雑誌 Vol. 14; no. 4; pp. 603 - 608
Main Authors 別宮, 小由理, 植木, 正明, 田家, 諭, 前川, 信博, 浅賀, 健彦, 澤登, 慶治, 岩永, 康之, 小野, 純一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本集中治療医学会 2007
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ISSN1340-7988
1882-966X
DOI10.3918/jsicm.14.603

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Summary:(1→3) -β-D-グルカン (以下, β-D-グルカン) 高値が遷延した食道手術後の深在性真菌症の2例を経験した。どちらも術後に, 発熱, CRP値上昇とともに培養でCandidaが検出され, β-D-グルカン高値により抗真菌薬の投与を開始したが, β-D-グルカン値はその後も上昇した。やがて臨床症状は軽快し抗真菌薬の投与を中止したが, β-D-グルカン高値は遷延した。抗真菌薬中止後, 臨床症状の再燃やβ-D-グルカン値の再上昇はみられなかった。今回経験した2症例においてβ-D-グルカン高値が遷延した原因としては, 真菌感染の継続あるいは偽陽性が考えられたが, そのいずれかは不明であった。しかし, 今回の2例および過去の報告より, 臨床症状の改善とβ-D-グルカン値の明らかな減少傾向がみられる場合, 必ずしもβ-D-グルカンが正常値まで回復していなくても, 抗真菌薬投与の中止は可能と考えられた。
ISSN:1340-7988
1882-966X
DOI:10.3918/jsicm.14.603