脂質管理による頸動脈不安定プラークの安定化 スタチンとEPA の安定化の類似点・相違点
スタチンが冠動脈や頸動脈のプラーク安定化をもたらすことは明らかではあるものの,スタチンが導入されていても心・脳血管イベントの発症リスクは残存している.EPA などのn-3 系不飽和脂肪酸が冠動脈イベントを抑制することは報告されているが,頸動脈病変での有用性は不明である.本研究では,スタチン治療を受けLDL-C が制御されている頸動脈狭窄患者のプラークの特徴を解析したところ,EPA/AA‹0.4 と低く,MR プラーク診断で粥腫内出血が優位であった.また,1,800 mg/日の45 日間(中央値)のEPA 製剤内服によりEPA/AA が上昇することで粥腫内出血が優位に安定化した一方,我々が以前報...
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Published in | 脳卒中 Vol. 39; no. 6; pp. 465 - 469 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
2017
日本脳卒中学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0912-0726 1883-1923 |
DOI | 10.3995/jstroke.10497 |
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Summary: | スタチンが冠動脈や頸動脈のプラーク安定化をもたらすことは明らかではあるものの,スタチンが導入されていても心・脳血管イベントの発症リスクは残存している.EPA などのn-3 系不飽和脂肪酸が冠動脈イベントを抑制することは報告されているが,頸動脈病変での有用性は不明である.本研究では,スタチン治療を受けLDL-C が制御されている頸動脈狭窄患者のプラークの特徴を解析したところ,EPA/AA‹0.4 と低く,MR プラーク診断で粥腫内出血が優位であった.また,1,800 mg/日の45 日間(中央値)のEPA 製剤内服によりEPA/AA が上昇することで粥腫内出血が優位に安定化した一方,我々が以前報告したように(脳卒中の外科41: 39–45, 2013),EPA とスタチン併用内服では粥腫内出血と脂質豊富な粥腫の両者が安定化することから,EPA とスタチンでは頸動脈プラークに対する安定化の機序が異なる可能性が示唆される. |
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ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.10497 |