腹膜炎症状で発症し異所性膵を伴った成人回腸重複腸管の1例

症例は,35歳の男性で,下痢・下腹部痛を主訴に来院した.腹部身体所見で下腹部に筋性防御を伴う圧痛があり,腹部CTで下腹部正中に炎症性腫瘤が認められた.入院後保存的加療を行ったが症状改善せず,急性虫垂炎による腹膜炎・腹腔内膿瘍の診断で,翌日手術を施行した.開腹すると虫垂は軽度の炎症所見を認めるのみで,腹腔内を検索するとBauhin弁から約50cm口側の回腸腸間膜内に重複腸管と思われる腫瘤性病変があり,その周囲に膿瘍形成を認めた.重複腸管および膿瘍を含め小腸部分切除術を行った.病理組織学的に重複腸管と診断され,小腸と対側の筋層内に膵組織を伴っていた. 重複腸管に異所性膵を伴い腹膜炎症状で手術に至っ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 7; pp. 2008 - 2012
Main Authors 吉田, 謙一, 久保, 章, 浅野, 史雄, 長嶺, 弘太郎, 亀田, 久仁郎, 山本, 晋也, 竹川, 義則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.2008

Cover

More Information
Summary:症例は,35歳の男性で,下痢・下腹部痛を主訴に来院した.腹部身体所見で下腹部に筋性防御を伴う圧痛があり,腹部CTで下腹部正中に炎症性腫瘤が認められた.入院後保存的加療を行ったが症状改善せず,急性虫垂炎による腹膜炎・腹腔内膿瘍の診断で,翌日手術を施行した.開腹すると虫垂は軽度の炎症所見を認めるのみで,腹腔内を検索するとBauhin弁から約50cm口側の回腸腸間膜内に重複腸管と思われる腫瘤性病変があり,その周囲に膿瘍形成を認めた.重複腸管および膿瘍を含め小腸部分切除術を行った.病理組織学的に重複腸管と診断され,小腸と対側の筋層内に膵組織を伴っていた. 重複腸管に異所性膵を伴い腹膜炎症状で手術に至った症例は極めて稀であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.2008