上腸間膜動脈症候群の2例

異なる原因で発症した上腸間膜動脈症候群2症例を経験した.症例1:29歳,女性.上腹部痛と嘔吐,体重減少にて来院した.腹部CTおよび上部消化管造影にて十二指腸水平部の不完全閉塞をみとめ,上腸間膜動脈症候群と診断した.保存的に治療するも軽快しないため,22病日に十二指腸空腸吻合術を施行した.術後経過は良好であった.症例2:80歳,男性.血便の精査で下行結腸癌,直腸癌の重複癌と診断し,左結腸切除術+低位前方切除術+D3郭清を行い,横行結腸と直腸との端々吻合にて再建した.術後11日目に嘔吐出現したため,上腹部CTおよび上部消化管造影を施行した.その結果,術後上腸間膜動脈症候群と診断し,保存的に経過観察...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 5; pp. 1242 - 1246
Main Authors 間瀬, 憲多朗, 丸森, 健司, 岡崎, 雅也, 福沢, 淳也, 今村, 史人, 神賀, 正博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.1242

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Summary:異なる原因で発症した上腸間膜動脈症候群2症例を経験した.症例1:29歳,女性.上腹部痛と嘔吐,体重減少にて来院した.腹部CTおよび上部消化管造影にて十二指腸水平部の不完全閉塞をみとめ,上腸間膜動脈症候群と診断した.保存的に治療するも軽快しないため,22病日に十二指腸空腸吻合術を施行した.術後経過は良好であった.症例2:80歳,男性.血便の精査で下行結腸癌,直腸癌の重複癌と診断し,左結腸切除術+低位前方切除術+D3郭清を行い,横行結腸と直腸との端々吻合にて再建した.術後11日目に嘔吐出現したため,上腹部CTおよび上部消化管造影を施行した.その結果,術後上腸間膜動脈症候群と診断し,保存的に経過観察した.術後34日目より食事開始し,その後,経過は良好であった.発症原因,治療法の異なる2症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.1242