高齢透析患者に発生した十二指腸球部腺扁平上皮癌の1例

症例は83歳,男性.慢性腎不全による人工透析中に高度の貧血を認め,上部消化管内視鏡検査を行ったところ十二指腸球部に全周性の腺癌を認めた.腹部CT検査にて多発肝転移を認めたため切除不能十二指腸癌と診断したが,高齢かつ透析を要する腎不全患者であることから化学療法の遂行は困難と判断し,胃・十二指腸球部切除術(緩和手術)を行った.病理組織検査では腺扁平上皮癌の診断で,主病巣は扁平上皮癌が占めていた.術後経過は,早期に肝転移による黄疸の出現ならびに肝不全を認め,術後23病日に死亡した.狭義の十二指腸に発生する腺扁平上皮癌は非常に稀であり予後不良とされている.われわれは,高齢透析患者に発生した十二指腸球部...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 7; pp. 1789 - 1794
Main Authors 福本, 兼久, 宮垣, 拓也, 高木, 剛, 柳澤, 昭夫, 中瀬, 有遠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.1789

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Summary:症例は83歳,男性.慢性腎不全による人工透析中に高度の貧血を認め,上部消化管内視鏡検査を行ったところ十二指腸球部に全周性の腺癌を認めた.腹部CT検査にて多発肝転移を認めたため切除不能十二指腸癌と診断したが,高齢かつ透析を要する腎不全患者であることから化学療法の遂行は困難と判断し,胃・十二指腸球部切除術(緩和手術)を行った.病理組織検査では腺扁平上皮癌の診断で,主病巣は扁平上皮癌が占めていた.術後経過は,早期に肝転移による黄疸の出現ならびに肝不全を認め,術後23病日に死亡した.狭義の十二指腸に発生する腺扁平上皮癌は非常に稀であり予後不良とされている.われわれは,高齢透析患者に発生した十二指腸球部腺扁平上皮癌の1切除例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.1789