特発性大腸穿孔を短期間に2回発症したSLEの1例

特発性大腸穿孔を短期間に2回発症したSLEの症例を経験したので報告する.症例は52歳の女性で,発熱,下腹部痛を主訴に来院した.既往歴は21歳時にSLEを発症し,副腎皮質ステロイドの内服治療を受けていた.CTで腹腔内遊離ガス像を認め,消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.術中所見では,横行結腸背側の腸間膜に便汁が貯留し,横行結腸に3cm大の穿孔部を認め,Hartmann手術を施行した.病理所見では,血管炎および血栓形成はみられなかったため,特発性大腸穿孔と診断した.術後135日目に再度腹痛を訴え,CTで人工肛門近傍の腸間膜内に便の貯留像を認め,消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.術中所見では,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 9; pp. 2318 - 2323
Main Authors 丹羽, 浩一郎, 坂本, 一博, 高橋, 玄, 秦, 政輝, 五藤, 倫敏, 石山, 隼
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.72.2318

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Summary:特発性大腸穿孔を短期間に2回発症したSLEの症例を経験したので報告する.症例は52歳の女性で,発熱,下腹部痛を主訴に来院した.既往歴は21歳時にSLEを発症し,副腎皮質ステロイドの内服治療を受けていた.CTで腹腔内遊離ガス像を認め,消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.術中所見では,横行結腸背側の腸間膜に便汁が貯留し,横行結腸に3cm大の穿孔部を認め,Hartmann手術を施行した.病理所見では,血管炎および血栓形成はみられなかったため,特発性大腸穿孔と診断した.術後135日目に再度腹痛を訴え,CTで人工肛門近傍の腸間膜内に便の貯留像を認め,消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.術中所見では,横行結腸背側の腸間膜に便汁が貯留し,人工肛門より5cm口側の横行結腸に2cm大の穿孔部を認め,結腸右半切除,回腸人工肛門造設術を施行した.病理所見では前回と同様であり,特発性大腸穿孔と診断した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.2318