長時間の側臥位にて下肢コンパートメント症候群をきたした1例

今回我々は左側臥位手術後に下肢コンパートメント症候群を発症した一例を経験したので報告する.症例は84歳男性.既往歴は両下肢重症閉塞性動脈硬化症.右下葉肺癌に対して左側臥位で開胸右下葉切除を行った.術中に血圧低下,酸素化低下を認め,一旦閉創のうえ仰臥位に戻し,状態が改善したために再度左側臥位とし右下葉切除を行った.術後1日目に右下肢の疼痛,腫脹を認め,右下肢コンパートメント症候群の診断で,減張切開術を行った.術後のコンパートメント症候群は砕石位や頭低位での報告が多いが,呼吸器外科領域,側臥位での報告はほとんどない.本症例を踏まえた発症リスクや予防策について文献的考察を含め報告する....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 34; no. 4; pp. 281 - 284
Main Authors 武田, 裕介, 桒田, 泰治, 平良, 彰浩, 篠原, 伸二, 黒田, 耕志, 田中, 文啓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2020
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:今回我々は左側臥位手術後に下肢コンパートメント症候群を発症した一例を経験したので報告する.症例は84歳男性.既往歴は両下肢重症閉塞性動脈硬化症.右下葉肺癌に対して左側臥位で開胸右下葉切除を行った.術中に血圧低下,酸素化低下を認め,一旦閉創のうえ仰臥位に戻し,状態が改善したために再度左側臥位とし右下葉切除を行った.術後1日目に右下肢の疼痛,腫脹を認め,右下肢コンパートメント症候群の診断で,減張切開術を行った.術後のコンパートメント症候群は砕石位や頭低位での報告が多いが,呼吸器外科領域,側臥位での報告はほとんどない.本症例を踏まえた発症リスクや予防策について文献的考察を含め報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.34.281