USH2A 遺伝子変異が同定された両側感音難聴の 3 兄妹例 アッシャー症候群における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングの重要性
要旨: USH2A 遺伝子は感音難聴に網膜色素変性症を伴う疾患であるアッシャー症候群タイプ 2 (USH2) の最多原因遺伝子として知られている。 今回我々は小児難聴例の原因検索のために行った遺伝学的検査で USH2A 遺伝子に複合ヘテロ接合体変異が同定された10歳以下の 3兄妹例を経験した。3人は現段階では視覚症状を呈していないが, 中等度から高度の両側高音障害型感音難聴であり, 思春期以後に眼症状が出る USH2 の可能性が高いと考えた。 網膜色素変性症は進行性で社会的失明に至る例もあるが, 先天性難聴に伴う随伴症状を予測可能になることは遺伝学的検査のメリットの一つであり, 将来起こりう...
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Published in | AUDIOLOGY JAPAN Vol. 62; no. 3; pp. 218 - 223 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本聴覚医学会
30.06.2019
日本聴覚医学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0303-8106 1883-7301 |
DOI | 10.4295/audiology.62.218 |
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Summary: | 要旨: USH2A 遺伝子は感音難聴に網膜色素変性症を伴う疾患であるアッシャー症候群タイプ 2 (USH2) の最多原因遺伝子として知られている。 今回我々は小児難聴例の原因検索のために行った遺伝学的検査で USH2A 遺伝子に複合ヘテロ接合体変異が同定された10歳以下の 3兄妹例を経験した。3人は現段階では視覚症状を呈していないが, 中等度から高度の両側高音障害型感音難聴であり, 思春期以後に眼症状が出る USH2 の可能性が高いと考えた。 網膜色素変性症は進行性で社会的失明に至る例もあるが, 先天性難聴に伴う随伴症状を予測可能になることは遺伝学的検査のメリットの一つであり, 将来起こりうる症状を踏まえて進路の選択などにつながる有用な情報になると考えた。また心理的な負担に対し十分な配慮し, 徐々に受容を促す支援を行うことができると考えた。 |
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ISSN: | 0303-8106 1883-7301 |
DOI: | 10.4295/audiology.62.218 |