乳房転移をきたした肺腺癌の1例
肺癌からの乳房転移は稀である.今回,肺癌術後に乳房転移を認めた1例を経験したので報告する.症例は65歳,女性.2005年6月,右肺腺癌に対し胸腔鏡下肺部分切除術を施行した(pT2NOMO:p-Stage IB).2006年3月の胸部CTで右肺上葉と右乳房に腫瘤を認め,マンモグラフィー,超音波検査でも右乳房C領域に径2cmの腫瘤陰影を認めた.FDG-PETでは右乳房腫瘤と右肺尖部胸膜に異常集積を認め,乳房腫瘤針生検にて乳癌と診断された.肺癌の肺内転移,胸膜播種と乳癌の重複癌と診断し,化学療法を施行した.化学療法によって肺内転移は消失し,他の病巣も縮小したため,2006年9月乳癌に対し右乳房温存手...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 5; pp. 1043 - 1047 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2008
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.69.1043 |
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Summary: | 肺癌からの乳房転移は稀である.今回,肺癌術後に乳房転移を認めた1例を経験したので報告する.症例は65歳,女性.2005年6月,右肺腺癌に対し胸腔鏡下肺部分切除術を施行した(pT2NOMO:p-Stage IB).2006年3月の胸部CTで右肺上葉と右乳房に腫瘤を認め,マンモグラフィー,超音波検査でも右乳房C領域に径2cmの腫瘤陰影を認めた.FDG-PETでは右乳房腫瘤と右肺尖部胸膜に異常集積を認め,乳房腫瘤針生検にて乳癌と診断された.肺癌の肺内転移,胸膜播種と乳癌の重複癌と診断し,化学療法を施行した.化学療法によって肺内転移は消失し,他の病巣も縮小したため,2006年9月乳癌に対し右乳房温存手術,腋窩リンパ節郭清を施行した.術後病理診にて乳房腫瘤は肺癌の乳房転移と診断された.悪性疾患の併存あるいは既往のある乳房腫瘤症例においては,乳房転移の存在を念頭に置く必要があると考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.69.1043 |