HBV持続感染に対してラミブジンを併用してステロイド治療を施行した自己免疫性肝炎の1例

症例は52歳, 女性. 2001年5月に大腿骨骨頭置換術の術前検査で肝機能異常とHBs抗原陽性を指摘された. HBe抗原陰性, HBe抗体陽性, HBV-DNA検出感度以下であるにもかかわらず肝機能異常が持続した. 他の肝疾患の合併を考慮し精査を行ったところ抗核抗体160倍, 抗ミトコンドリア抗体陽性であり自己免疫性肝疾患の合併が疑われた. 腹腔鏡検査で溝状陥凹がみられた. 生検組織は慢性肝炎 (F3/A2) の像を呈しており, 門脈域には形質細胞の浸潤があったが胆管病変はなかった. 以上より肝障害の成因は自己免疫性肝炎と診断した. プレドニゾロンによるHBVの再活性化の予防を目的としてラミブ...

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Published in肝臓 Vol. 46; no. 9; pp. 557 - 562
Main Authors 布井, 弘明, 徳本, 良雄, 木阪, 吉保, 古川, 慎哉, 日浅, 陽一, 南, 尚佳, 道堯, 浩二郎, 堀池, 典生, 恩地, 森一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2005
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Summary:症例は52歳, 女性. 2001年5月に大腿骨骨頭置換術の術前検査で肝機能異常とHBs抗原陽性を指摘された. HBe抗原陰性, HBe抗体陽性, HBV-DNA検出感度以下であるにもかかわらず肝機能異常が持続した. 他の肝疾患の合併を考慮し精査を行ったところ抗核抗体160倍, 抗ミトコンドリア抗体陽性であり自己免疫性肝疾患の合併が疑われた. 腹腔鏡検査で溝状陥凹がみられた. 生検組織は慢性肝炎 (F3/A2) の像を呈しており, 門脈域には形質細胞の浸潤があったが胆管病変はなかった. 以上より肝障害の成因は自己免疫性肝炎と診断した. プレドニゾロンによるHBVの再活性化の予防を目的としてラミブジンを併用した. 治療開始後肝機能の改善があり, 開始2年後の現在まで経過は良好である. ラミブジンの併用でHBVの再活性化を来すことなくステロイド投与を実施できた症例を経験した.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.46.557