胸骨後経路胃管再建による食道癌手術後の僧帽弁輪石灰化を伴う僧帽弁逆流,三尖弁逆流症例に対する右傍胸骨アプローチによる1治験例

食道癌切除術,胃管再建を後胸骨経路で行う方法は吻合箇所が少なく,縫合不全や胃管における潰瘍・癌の発生への対処の容易さ,美容上の問題などから胸骨前経路や後縦隔経路で行う方法よりも本邦では一般的となっている.この後胸骨胃管再建を行った後の心臓手術を胸骨正中切開で行うには胃管損傷,縦隔炎のリスクがある.僧帽弁後尖弁輪の石灰化を伴う僧帽弁逆流,三尖弁逆流の症例に対して右傍胸骨アプローチで僧帽弁人工弁置換術,三尖弁輪形成術を行った.術野が深く,手術操作の自由度が小さかったが馬心膜をcollarとして後尖側の弁輪部を補強した人工弁置換の遂行が可能であった.複雑病変であったこと,経食道心エコーを使用できず逆...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 39; no. 4; pp. 216 - 219
Main Authors 金光, 尚樹, 青田, 正樹, 中根, 武一郎, 武田, 崇秀, 小西, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2010
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Summary:食道癌切除術,胃管再建を後胸骨経路で行う方法は吻合箇所が少なく,縫合不全や胃管における潰瘍・癌の発生への対処の容易さ,美容上の問題などから胸骨前経路や後縦隔経路で行う方法よりも本邦では一般的となっている.この後胸骨胃管再建を行った後の心臓手術を胸骨正中切開で行うには胃管損傷,縦隔炎のリスクがある.僧帽弁後尖弁輪の石灰化を伴う僧帽弁逆流,三尖弁逆流の症例に対して右傍胸骨アプローチで僧帽弁人工弁置換術,三尖弁輪形成術を行った.術野が深く,手術操作の自由度が小さかったが馬心膜をcollarとして後尖側の弁輪部を補強した人工弁置換の遂行が可能であった.複雑病変であったこと,経食道心エコーを使用できず逆流の評価が困難であることなどからの理由で僧帽弁形成術を選択しなかった.右傍胸骨アプローチを用いたため,胃管損傷のリスクはほぼ皆無であり経口摂取を速やかに再開することができた.肋骨を複数切除した胸壁欠損部の脆弱性が問題となるがcomposite meshを補填することで十分な強度が得られた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.39.216