幽門側胃切除を施行したA型胃炎に伴う多発性胃カルチノイドの1例

症例は49歳,女性.既往歴は28歳時に悪性貧血,バセドウ病,ANCA(anti-neutrophil cytoplasmic autoantibody)関連血管炎.心窩部不快感を主訴に平成22年2月近医受診し,胃腫瘍が疑われ精査加療目的に当院紹介受診となった.上部消化管内視鏡検査にて胃体部の高度な萎縮と,胃体上部に5mm径の多発性隆起性病変を認め,生検にて胃カルチノイドと診断された.血液検査上,血中ガストリン値は6,406pg/mlと著明高値を呈していたため,A型胃炎に伴う多発性胃カルチノイドと考えられ,幽門側胃切除を施行した.血中ガストリン値は術後翌日に正常化し,術後7カ月の上部消化管内視鏡...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 8; pp. 2009 - 2013
Main Authors 増田, 剛, 久保, 尚士, 田中, 浩明, 六車, 一哉, 平川, 弘聖, 澤田, 鉄二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.72.2009

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Summary:症例は49歳,女性.既往歴は28歳時に悪性貧血,バセドウ病,ANCA(anti-neutrophil cytoplasmic autoantibody)関連血管炎.心窩部不快感を主訴に平成22年2月近医受診し,胃腫瘍が疑われ精査加療目的に当院紹介受診となった.上部消化管内視鏡検査にて胃体部の高度な萎縮と,胃体上部に5mm径の多発性隆起性病変を認め,生検にて胃カルチノイドと診断された.血液検査上,血中ガストリン値は6,406pg/mlと著明高値を呈していたため,A型胃炎に伴う多発性胃カルチノイドと考えられ,幽門側胃切除を施行した.血中ガストリン値は術後翌日に正常化し,術後7カ月の上部消化管内視鏡検査では胃体上部のカルチノイドは消失していた.以上,A型胃炎に伴う多発性胃カルチノイドに対して,幽門側胃切除を施行し良好な結果を得た症例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.2009