光触媒膜付蛍光ランプが室内環境に与える浮遊菌の減少効果および消臭効果について

酸化チタン (titanium dioxide: TiO2) を主成分とする光触媒膜をガラス表面にコーティングした光触媒膜付蛍光ランプは, ランプの表面の光触媒に触れた菌や臭い分子を分解する効果を有する.その光触媒膜付蛍光ランプをとりつけた室内における浮遊菌数の減少効果および消臭効果を検討した. 当大学の動物実験施設, 某食品会社の野菜下処理場という独立した2つの施設における光触媒膜付蛍光ランプの取り付け前後における細菌の浮遊菌数を, それぞれ独立の検査機関により比較検討したところ, いずれの実験においても光触媒膜付蛍光ランプ装着により有意の菌数減少を認めた. 脱臭効果をみる基礎実験としては,...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 78; no. 7; pp. 588 - 596
Main Authors 藤巻, わかえ, 上芝, 秀博, 仁藤, 興次, 金井, 孝夫, 内山, 竹彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.07.2004
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.78.588

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Summary:酸化チタン (titanium dioxide: TiO2) を主成分とする光触媒膜をガラス表面にコーティングした光触媒膜付蛍光ランプは, ランプの表面の光触媒に触れた菌や臭い分子を分解する効果を有する.その光触媒膜付蛍光ランプをとりつけた室内における浮遊菌数の減少効果および消臭効果を検討した. 当大学の動物実験施設, 某食品会社の野菜下処理場という独立した2つの施設における光触媒膜付蛍光ランプの取り付け前後における細菌の浮遊菌数を, それぞれ独立の検査機関により比較検討したところ, いずれの実験においても光触媒膜付蛍光ランプ装着により有意の菌数減少を認めた. 脱臭効果をみる基礎実験としては, 密閉容器内に注入されたアセトアルデヒドの濃度の減少を, 一般ランプを装着した場合と光触媒膜付蛍光ランプを装着した場合について比較検討した. その結果, 一般ランプを装着した場合では濃度減少を全く認めなかったが, 光触媒膜付蛍光ランプの装着では1時間後に濃度は半減した. 実環境では, トイレの臭いについてのアンケートを実施した. 複数のトイレにおいて検討したところ, いずれにおいても光触媒膜付蛍光ランプ装着後において, 90%前後の利用者が, 臭いが減少したと回答した. 以上より, 光触媒膜付蛍光ランプの装着により, 実環境の空中浮遊菌を減少させること, また, 消臭効果を有することが明らかとなった.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.78.588