乳児急性下気道感染症の疫学

1994年6月から1995年3月の期間に, 千葉市立病院小児科に入院した2歳以下の小児の急性下気道感染症症例の病因検索を行った.病因検索方法として, 細菌感染は血液培養, 洗浄喀痰培養, ウイルス感染はウイルス分離抗原, 抗体検査, マイコプラズマ感染は抗体検査, クラミジア感染は抗原検査を用いた.この期間に入院したのは, 87症例99エピソードであり, そのうち71エピソード (71%) の起炎病原体が判明した.起炎病原体判明例のうち, 細菌感染は43エピソード (43%), ウイルス感染は37エピソード (37%), マイコプラズマ感染は4エピソード (4%), クラミジア感染は3エピソー...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 70; no. 5; pp. 470 - 478
Main Authors 上原, すゞ子, 新美, 仁男, 沼崎, 義夫, 鈴木, 宏, 郡, 美夫, 杉本, 和夫, 石和田, 稔彦, 駿河, 洋介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.05.1996
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.70.470

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Summary:1994年6月から1995年3月の期間に, 千葉市立病院小児科に入院した2歳以下の小児の急性下気道感染症症例の病因検索を行った.病因検索方法として, 細菌感染は血液培養, 洗浄喀痰培養, ウイルス感染はウイルス分離抗原, 抗体検査, マイコプラズマ感染は抗体検査, クラミジア感染は抗原検査を用いた.この期間に入院したのは, 87症例99エピソードであり, そのうち71エピソード (71%) の起炎病原体が判明した.起炎病原体判明例のうち, 細菌感染は43エピソード (43%), ウイルス感染は37エピソード (37%), マイコプラズマ感染は4エピソード (4%), クラミジア感染は3エピソード (3%) に関与していた.細菌感染では, H.influenzae, M. (B) catarrhalis, S.pneumoniaeが主体であった.ウイルス感染では, 冬期にRSウイルスとインフルエンザウイルスの流行を認めた.また, 細菌とウイルスの重感染を13エピソード (13%) 認めた.RSウイルス感染は6カ月以下の乳児で多く, 1歳以上の小児でインフルエンザウイルスと細菌の重感染が多かった.ウイルス分離は, ウイルス感染の流行状況の把握に役立った.2歳以下の小児の急性下気道感染症では, 細菌感染の関与する場合が多く, 治療上, 喀疾のグラム染色, 洗浄喀痰培養が有用であった.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.70.470