過疎地域に住む健康障害のある子どもの母親の療育生活の折り合い

過疎地域に生活する健康障害のある子ども(以下,子ども)の母親の療育生活の折り合いを分析する目的で,フォーカスグループインタビュー(FGI)調査を元にした質的探索的研究を行った。研究協力者は,療育施設通園児の母親8名と療育施設職員7名である。インタビューガイドは「過疎地域における療育生活の折り合い」と設定し,母親と職員グループに分けデータを収集し,グループ別に逐語録を作成後,質的データ分析法を用い分析した。逐語録の内容を解釈し,縮約データからカテゴリー化した結果,折り合う事象を環境要件,役割の特性,事象の帰結に分類した。環境要件では,療育に対する偏見,地域の不満足な医療資源の現状が折り合いにくい...

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Published in日本健康医学会雑誌 Vol. 24; no. 2; pp. 154 - 160
Main Authors 日比野, 直子, 野呂, 千鶴子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本健康医学会 2015
JAPAN HEALTH MEDICINE ASSOCIATION
Subjects
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ISSN1343-0025
2423-9828
DOI10.20685/kenkouigaku.24.2_154

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Summary:過疎地域に生活する健康障害のある子ども(以下,子ども)の母親の療育生活の折り合いを分析する目的で,フォーカスグループインタビュー(FGI)調査を元にした質的探索的研究を行った。研究協力者は,療育施設通園児の母親8名と療育施設職員7名である。インタビューガイドは「過疎地域における療育生活の折り合い」と設定し,母親と職員グループに分けデータを収集し,グループ別に逐語録を作成後,質的データ分析法を用い分析した。逐語録の内容を解釈し,縮約データからカテゴリー化した結果,折り合う事象を環境要件,役割の特性,事象の帰結に分類した。環境要件では,療育に対する偏見,地域の不満足な医療資源の現状が折り合いにくい状況を作り出し,役割の特性では母親が専門職の助言を得て行動し,療育の理解を深める思考に繋げていた。事象の帰結は,母親や家族の理解者の確保,療育の効果を肯定的に受容している場合に折り合いが取れていた。療育生活の折り合いの分析は,子どもの母親に対する支援の具体的なアプローチについての示唆ができると考えられた。
ISSN:1343-0025
2423-9828
DOI:10.20685/kenkouigaku.24.2_154