開心術後に発症した遅発性縦隔洞炎の診断に positron emission tomography が有用であった乳児例
Positron emission tomography(PET) 検査は悪性腫瘍の診断,全身転移の検索などに用いられているが,組織代謝の亢進を伴う感染症や炎症でも 18-fluorodeoxyglucose(FDG) の集積することが知られている.とくに PET とコンピュータ断層写真を同時に行う PET/CT は代謝亢進場所の正確な特定には著しい効力を発揮する.今回,軽度の炎症反応しか認めない,遅発性に発症したメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 縦隔洞炎の診断に有効であった乳児例を経験したので報告する.症例は8カ月の女児. Jatene 術,右室流出路形成術後に MRSA 創部感染...
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Published in | 日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 37; no. 2; pp. 96 - 99 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
2008
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Subjects | |
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ISSN | 0285-1474 1883-4108 |
DOI | 10.4326/jjcvs.37.96 |
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Summary: | Positron emission tomography(PET) 検査は悪性腫瘍の診断,全身転移の検索などに用いられているが,組織代謝の亢進を伴う感染症や炎症でも 18-fluorodeoxyglucose(FDG) の集積することが知られている.とくに PET とコンピュータ断層写真を同時に行う PET/CT は代謝亢進場所の正確な特定には著しい効力を発揮する.今回,軽度の炎症反応しか認めない,遅発性に発症したメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 縦隔洞炎の診断に有効であった乳児例を経験したので報告する.症例は8カ月の女児. Jatene 術,右室流出路形成術後に MRSA 創部感染を認め治療されていた.創部が治癒閉鎖してから4カ月後に創部発赤を認め,排膿ドレナージを行った.発熱などの全身症状はなく,白血球数増多, CRP の上昇は軽度であったが,創部培養で MRSA が同定された.核磁気共鳴検査では胸骨後部に膿瘍を疑わせる貯溜物を認めた. PET/CT 検査を行ったところ胸骨後部に FDG の強い集積を認めたため MRSA 縦隔洞炎と診断し,手術で確認した. |
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ISSN: | 0285-1474 1883-4108 |
DOI: | 10.4326/jjcvs.37.96 |