B型肝炎ウイルスgenotype D感染または再活性化を契機に急性肝不全で死亡した1例

症例は関節リウマチでメトトレキサートとステロイド投与中の85歳男性.倦怠感,黄疸を主訴に受診.受診1年前にHBs抗原陰性,肝機能検査値も正常であったが,今回受診時はHBs抗原陽性で,IgM型HBc抗体も陽性であった.高度の肝機能障害がみられ,非昏睡型急性肝不全として治療したが,入院14日目に肝不全で死亡した.剖検では線維化を認める肝臓(初期の肝硬変)に高度の肝実質障害を併発した所見であった.入院時B型肝炎ウイルス(HBV)-DNAは>9.0 LC/ml,genotypeはDで,プレコア領域(nt1896),コアプロモーター領域(nt1762,nt1764)には変異がみられた.本例はHBV再活性...

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Published in肝臓 Vol. 54; no. 11; pp. 748 - 754
Main Authors 林, 倫留, 大久保, 啓二, 宮田, 英樹, 平岡, 淳, 今井, 祐輔, 道堯, 浩二郎, 中原, 弘雅, 達川, はるか, 白石, 明子, 二宮, 朋之, 古谷, 敬三, 谷平, 哲哉, 清水, 祐宏, 山子, 泰加, 池本, 純
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2013
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.54.748

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Summary:症例は関節リウマチでメトトレキサートとステロイド投与中の85歳男性.倦怠感,黄疸を主訴に受診.受診1年前にHBs抗原陰性,肝機能検査値も正常であったが,今回受診時はHBs抗原陽性で,IgM型HBc抗体も陽性であった.高度の肝機能障害がみられ,非昏睡型急性肝不全として治療したが,入院14日目に肝不全で死亡した.剖検では線維化を認める肝臓(初期の肝硬変)に高度の肝実質障害を併発した所見であった.入院時B型肝炎ウイルス(HBV)-DNAは>9.0 LC/ml,genotypeはDで,プレコア領域(nt1896),コアプロモーター領域(nt1762,nt1764)には変異がみられた.本例はHBV再活性化によるde novo肝炎が推定されたがHBV初感染の可能性も否定できなかった.本邦におけるgenotype Dによる肝不全死亡例は過去報告がないため,報告する.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.54.748