上部消化管穿孔に対する保存的治療症例の検討

上部消化管穿孔に対する保存的治療適応基準の妥当性を明らかにするため,2000年1月から2007年12月に当科で経験した上部消化管穿孔症例で入院時に保存的治療を選択した28例(十二指腸潰瘍穿孔20例,胃潰瘍穿孔5例,胃癌穿孔3例)をretrospectiveに検討した.当科における保存的治療の適応基準は,(1)全身状態が安定していること,(2)腹膜刺激症状が上腹部に限局していること,(3)CTにてダグラス窩に腹水がない,もしくは少量であること.全ての適応基準を満たした場合,患者と家族にinformed consentを得て,保存的治療を開始し,経過観察中に腹部症状の悪化や腹水が増量した症例は,緊...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 3; pp. 667 - 672
Main Authors 鈴木, 大, 知久, 毅, 中田, 泰幸, 田代, 亜彦, 矢野, 健太郎, 直井, 大志, 佐野, 渉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.667

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Summary:上部消化管穿孔に対する保存的治療適応基準の妥当性を明らかにするため,2000年1月から2007年12月に当科で経験した上部消化管穿孔症例で入院時に保存的治療を選択した28例(十二指腸潰瘍穿孔20例,胃潰瘍穿孔5例,胃癌穿孔3例)をretrospectiveに検討した.当科における保存的治療の適応基準は,(1)全身状態が安定していること,(2)腹膜刺激症状が上腹部に限局していること,(3)CTにてダグラス窩に腹水がない,もしくは少量であること.全ての適応基準を満たした場合,患者と家族にinformed consentを得て,保存的治療を開始し,経過観察中に腹部症状の悪化や腹水が増量した症例は,緊急手術に移行した.6例が手術に移行したが,全例軽快退院した.保存的治療完遂群と手術移行群において,受診時の患者データや在院日数等を比較したが統計学的有意差は認めなかった.途中経過を厳重に観察し,速やかに手術移行できる体制があれば,上部消化管穿孔に対し,当院の適応基準で保存的治療を開始して問題ないと思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.667