膵尾側切除後のため経十二指腸的乳頭切除術を行った十二指腸乳頭部癌の1例

症例は80歳,男性.14年前,胃癌で胃全摘,膵・脾合併切除(Roux-en-Y再建)を施行した既往があり,BMIは17.9と低栄養状態だった.胃部不快感を主訴に受診.血液検査で血清ビリルビン値,肝胆道系酵素の上昇,画像検査では十二指腸乳頭部に造影される腫瘤像を認め,十二指腸乳頭部癌の診断で手術目的に入院となった.本来,根治性の観点からは十二指腸乳頭部癌には膵頭十二指腸切除術を選択するべきである.しかしながら,胃癌手術のため脾動脈が根部で切離されており膵頭十二指腸切除術を行った場合,残膵の血流を考えると膵全摘となる可能性が高く,QOLの著しい低下をきたすことも考慮し縮小手術である経十二指腸的乳頭...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 10; pp. 2324 - 2328
Main Authors 川崎, 修平, 杉田, 純一, 丹野, 弘晃, 成島, 陽一, 土屋, 朗之, 北村, 洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.2324

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Summary:症例は80歳,男性.14年前,胃癌で胃全摘,膵・脾合併切除(Roux-en-Y再建)を施行した既往があり,BMIは17.9と低栄養状態だった.胃部不快感を主訴に受診.血液検査で血清ビリルビン値,肝胆道系酵素の上昇,画像検査では十二指腸乳頭部に造影される腫瘤像を認め,十二指腸乳頭部癌の診断で手術目的に入院となった.本来,根治性の観点からは十二指腸乳頭部癌には膵頭十二指腸切除術を選択するべきである.しかしながら,胃癌手術のため脾動脈が根部で切離されており膵頭十二指腸切除術を行った場合,残膵の血流を考えると膵全摘となる可能性が高く,QOLの著しい低下をきたすことも考慮し縮小手術である経十二指腸的乳頭切除術を施行した.術後経過は良好で合併症無く退院し,現在外来フォロー中である.胃全摘,膵・脾合併切除後の十二指腸乳頭癌に対して膵を温存すべきか術式選択に苦慮した症例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.2324