赤芽球癆を合併した胸腺腫の1例

症例は44歳,女性.赤芽球癆にて当院血液内科通院中,胸部CTにおいて前縦隔腫瘍を指摘され当科紹介となった.造影CTにて,前縦隔に4cm大の分葉状で内部に一部造影効果を伴う腫瘤陰影を認め,正岡分類I期の赤芽球癆合併胸腺腫を疑い,胸腔鏡下で腫瘍摘出術を施行した.病理診断ではWHO分類type ABの胸腺腫であった.術前には赤芽球癆の状態は不安定であり,免疫抑制剤による加療に加えて複数回の輸血で貧血に対応していたが,術後に貧血は改善され免疫抑制剤の投与量も減少した.また,胸腺腫の再発もなく良好な経過を得ている.胸腺腫には重症筋無力症,赤芽球癆など様々な自己免疫疾患の合併を認めることがある.今回,赤芽...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 10; pp. 2446 - 2450
Main Authors 高井, 亮, 小林, 孝一郎, 宮津, 克幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.2446

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Summary:症例は44歳,女性.赤芽球癆にて当院血液内科通院中,胸部CTにおいて前縦隔腫瘍を指摘され当科紹介となった.造影CTにて,前縦隔に4cm大の分葉状で内部に一部造影効果を伴う腫瘤陰影を認め,正岡分類I期の赤芽球癆合併胸腺腫を疑い,胸腔鏡下で腫瘍摘出術を施行した.病理診断ではWHO分類type ABの胸腺腫であった.術前には赤芽球癆の状態は不安定であり,免疫抑制剤による加療に加えて複数回の輸血で貧血に対応していたが,術後に貧血は改善され免疫抑制剤の投与量も減少した.また,胸腺腫の再発もなく良好な経過を得ている.胸腺腫には重症筋無力症,赤芽球癆など様々な自己免疫疾患の合併を認めることがある.今回,赤芽球癆を合併した胸腺腫症例に対し,胸腺腫摘出術を施行したところ,赤芽球癆の治療抵抗性の改善を認めたので報告した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.2446