臍ヘルニア嵌頓整復71日後に発症した遅発性虚血性小腸狭窄の1例

症例は51歳,女性,臍ヘルニア嵌頓にて当院救急外来で徒手整復を受けた.その後24日目に待機的に根治術を施行した.その後の経過中に嘔吐や下痢や食欲不振を認めて整復後71日目に癒着性小腸閉塞と診断して緊急入院となった.造影剤を経口投与後に腹部CTを施行したところ,小腸に狭窄部を認めた.ただし,大腸にも造影剤を認めたため保存的に経過観察としたが,状態が改善しないために手術適応と判断して,狭窄部の小腸切除と端側吻合した.摘出標本の病理検査で虚血性小腸狭窄と診断された.術後の経過は良好で,その後腸閉塞の症状なく経過している.臍ヘルニアは比較的に稀な疾患であるが,整復後に,鼠径ヘルニアや大腿ヘルニア嵌頓と...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 10; pp. 2706 - 2709
Main Authors 若山, 昌彦, 神谷, 誠, 鈴木, 敏之, 松本, 裕史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.73.2706

Cover

More Information
Summary:症例は51歳,女性,臍ヘルニア嵌頓にて当院救急外来で徒手整復を受けた.その後24日目に待機的に根治術を施行した.その後の経過中に嘔吐や下痢や食欲不振を認めて整復後71日目に癒着性小腸閉塞と診断して緊急入院となった.造影剤を経口投与後に腹部CTを施行したところ,小腸に狭窄部を認めた.ただし,大腸にも造影剤を認めたため保存的に経過観察としたが,状態が改善しないために手術適応と判断して,狭窄部の小腸切除と端側吻合した.摘出標本の病理検査で虚血性小腸狭窄と診断された.術後の経過は良好で,その後腸閉塞の症状なく経過している.臍ヘルニアは比較的に稀な疾患であるが,整復後に,鼠径ヘルニアや大腿ヘルニア嵌頓と同様に虚血性小腸狭窄をきたす可能性がある.そのため,整復後は虚血性小腸狭窄を念頭に置いた長期における経過観察が必要と思われる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.2706