外科的治療を行った高齢者サイトメガロウイルス腸炎の1例

症例は83歳,男性.転倒による骨折を契機に入院し骨接合術を施行,リハビリテーション中であったが2週後に高熱と下血をきたした.絶食と抗生剤の投与を施行したが症状が改善せず,内視鏡検査でS状結腸に限局した全周性の浮腫,充血を認め,また生検で核内封入体が認められたためサイトメガロウイルス(以下CMV)腸炎と診断された.ガンシクロビルが投与されたが,下血が続き病変部の狭窄が進行したために当科で同部位の切除を行った.切除標本では明らかな虚血の所見はなく,粘膜下に核内封入体を認めた.術前血中のCMV antigenemiaは陽性だったが術後は陰性化した.元来健康な高齢者ではあったが一時的な免疫能低下によっ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 1; pp. 116 - 120
Main Authors 今野, 愛, 渋谷, 均, 佐々木, 賢一, 久木田, 和磨, 河野, 剛, 平田, 公一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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Summary:症例は83歳,男性.転倒による骨折を契機に入院し骨接合術を施行,リハビリテーション中であったが2週後に高熱と下血をきたした.絶食と抗生剤の投与を施行したが症状が改善せず,内視鏡検査でS状結腸に限局した全周性の浮腫,充血を認め,また生検で核内封入体が認められたためサイトメガロウイルス(以下CMV)腸炎と診断された.ガンシクロビルが投与されたが,下血が続き病変部の狭窄が進行したために当科で同部位の切除を行った.切除標本では明らかな虚血の所見はなく,粘膜下に核内封入体を認めた.術前血中のCMV antigenemiaは陽性だったが術後は陰性化した.元来健康な高齢者ではあったが一時的な免疫能低下によってCMV腸炎をきたしたものと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.116