一期的乳房再建術の治療成績の検討

早期乳癌では乳房切除後の一期的乳房再建(IR)は推奨される治療であるが,進行例を含めたIRの腫瘍学的な治療成績の報告は少ない.1995年6月より2009年3月に行われたIR68例の治療成績を,64歳以下の乳房切除のみ(MA)192例と比較した.IR群の最高齢は64歳で,68例中63例に腹直筋皮弁,4例に広背筋皮弁,1例にインプラントが用いられた.平均観察期間は93カ月(19~144カ月)であった.5年全生存率はIR群93.5%,MA群90.3%,非浸潤癌を除いた5年無再発生存率はIR群82.5%,MA群80.8%,局所再発はIR群4.5%,MA群5.9%で有意差がなかった.リンパ節転移4コ以上...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 12; pp. 3031 - 3036
Main Authors 西村, 秀紀, 有村, 隆明, 境澤, 隆夫, 小沢, 恵介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.73.3031

Cover

More Information
Summary:早期乳癌では乳房切除後の一期的乳房再建(IR)は推奨される治療であるが,進行例を含めたIRの腫瘍学的な治療成績の報告は少ない.1995年6月より2009年3月に行われたIR68例の治療成績を,64歳以下の乳房切除のみ(MA)192例と比較した.IR群の最高齢は64歳で,68例中63例に腹直筋皮弁,4例に広背筋皮弁,1例にインプラントが用いられた.平均観察期間は93カ月(19~144カ月)であった.5年全生存率はIR群93.5%,MA群90.3%,非浸潤癌を除いた5年無再発生存率はIR群82.5%,MA群80.8%,局所再発はIR群4.5%,MA群5.9%で有意差がなかった.リンパ節転移4コ以上でも,5年無再発生存率はIR群62.2%,MA群60.7%,局所再発はIR群8.3%,MA群15.9%で有意差がなかった.IRは予後に影響を与えず,進行例であっても患者の希望があれば実施して良い.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.3031