腸管蠕動のためバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術による治療が困難であった十二指腸静脈瘤の1例

症例は非アルコール性脂肪肝炎による肝硬変にて外来通院中の75歳の女性.黒色便の訴えがあり上部消化管内視鏡を施行.十二指腸水平部から上行部に広範囲にわたる緊満した静脈瘤が認められ,一部びらんもあり同部位からの出血と考えられた.待機的にバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(balloon-occluded retrograde transvenous obliteration:B-RTO)を施行したが,腸管蠕動運動に伴う硬化剤の供血路側への流出のため,塞栓が困難であった.その後,経皮経肝的塞栓術により静脈瘤は治療された.これまで腸管蠕動によりB-RTOが困難であったという報告はない.B-RTO施行時...

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Published in肝臓 Vol. 61; no. 12; pp. 722 - 727
Main Authors 中尾, 一彦, 石丸, 英樹, 澤瀬, 寛典, 成田, 翔平, 佐々木, 龍, 原口, 雅史, 三馬, 聡, 小澤, 栄介, 宮明, 寿光, 福島, 真典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.12.2020
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.61.722

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Summary:症例は非アルコール性脂肪肝炎による肝硬変にて外来通院中の75歳の女性.黒色便の訴えがあり上部消化管内視鏡を施行.十二指腸水平部から上行部に広範囲にわたる緊満した静脈瘤が認められ,一部びらんもあり同部位からの出血と考えられた.待機的にバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(balloon-occluded retrograde transvenous obliteration:B-RTO)を施行したが,腸管蠕動運動に伴う硬化剤の供血路側への流出のため,塞栓が困難であった.その後,経皮経肝的塞栓術により静脈瘤は治療された.これまで腸管蠕動によりB-RTOが困難であったという報告はない.B-RTO施行時は腸管蠕動の影響を受けることもあり,血行動態に加え,近隣腸管の走行を考慮した治療戦略を立てる必要性があると考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.61.722