腹直筋に発生した顆粒細胞腫の1例
症例は56歳,女性.徐々に増大する左肋骨弓下腫瘤を自覚し来院した.左上腹部に径34mm大の比較的境界明瞭で可動性不良,弾性硬な腫瘤を触知した.精査の結果デスモイド腫瘍を疑い,腫瘤摘出術を施行した.腫瘍は腹直筋に存在し,切除標本で腫瘍割面は灰白色調であり一部境界不明瞭であった.組織学的には胞体内に粗大好酸性顆粒を持ち,軽度大小不同を示す類円形核を持つ細胞が小胞巣状に増殖しており,一部腹直筋に浸潤を認めた.異型細胞はS-100蛋白染色陽性であり左側方断端陽性であった.腹直筋に発生した顆粒細胞腫と診断し後日,腹直筋および腹直筋前後鞘追加切除術を施行した.顆粒細胞腫は皮膚・口腔・消化器領域が好発部位と...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 12; pp. 3491 - 3494 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2013
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.74.3491 |
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Summary: | 症例は56歳,女性.徐々に増大する左肋骨弓下腫瘤を自覚し来院した.左上腹部に径34mm大の比較的境界明瞭で可動性不良,弾性硬な腫瘤を触知した.精査の結果デスモイド腫瘍を疑い,腫瘤摘出術を施行した.腫瘍は腹直筋に存在し,切除標本で腫瘍割面は灰白色調であり一部境界不明瞭であった.組織学的には胞体内に粗大好酸性顆粒を持ち,軽度大小不同を示す類円形核を持つ細胞が小胞巣状に増殖しており,一部腹直筋に浸潤を認めた.異型細胞はS-100蛋白染色陽性であり左側方断端陽性であった.腹直筋に発生した顆粒細胞腫と診断し後日,腹直筋および腹直筋前後鞘追加切除術を施行した.顆粒細胞腫は皮膚・口腔・消化器領域が好発部位とされており,骨格筋内からの発生は比較的まれである.術前診断に特異的なものは無く,術式・術後予後判定も画一されていない.今後慎重な経過観察が必要と考える. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.74.3491 |