利尿薬の乱用が原因と考えられる痛風発作を繰り返し,超音波検査上痛風腎の所見を呈した女性痛風の一例

症例は50歳の女性で,8年前からフロセミドやトラセミドの乱用を続け,高尿酸血症(11-13mg/dL)をきたして痛風発作を繰り返していた.腹部超音波検査では両側腎髄質の高エコー所見(hyperechoic medulla)を認めた.当院で2017年から2021年までの5年間に痛風・高尿酸血症患者に施行した腹部超音波検査5208例の中で,hyperechoic medulla所見を呈した症例は22例に過ぎず,hyperechoic medulla所見は稀な所見と考えられた.その中で尿酸降下治療が5年以上行われた11例について複数回施行された腹部超音波検査所見を見直したが,hyperechoic...

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Published in痛風と尿酸・核酸 Vol. 46; no. 1; pp. 9 - 14
Main Authors 藤森, 新, 大山, 博司, 諸見里, 仁, 久住, 真砂子, 大山, 恵子, 田淵, 大貴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本痛風・尿酸核酸学会 25.07.2022
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ISSN2435-0095
DOI10.14867/gnamtsunyo.46.1_9

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Summary:症例は50歳の女性で,8年前からフロセミドやトラセミドの乱用を続け,高尿酸血症(11-13mg/dL)をきたして痛風発作を繰り返していた.腹部超音波検査では両側腎髄質の高エコー所見(hyperechoic medulla)を認めた.当院で2017年から2021年までの5年間に痛風・高尿酸血症患者に施行した腹部超音波検査5208例の中で,hyperechoic medulla所見を呈した症例は22例に過ぎず,hyperechoic medulla所見は稀な所見と考えられた.その中で尿酸降下治療が5年以上行われた11例について複数回施行された腹部超音波検査所見を見直したが,hyperechoic medulla所見の改善はみられなかった.重症痛風症例502例の36%に,可逆的なhyperechoic medulla所見を認めたとするベトナムからの報告と異なる結果が得られたことから,痛風・高尿酸血症患者にみられるhyperechoic medulla所見が可逆的な尿酸塩結晶沈着によるものか,非可逆的な腎髄質の基質変化によるものかを解明する必要があると考え報告した.
ISSN:2435-0095
DOI:10.14867/gnamtsunyo.46.1_9