脾膿瘍を生じたサイトメガロウイルス感染を合併した潰瘍性大腸炎の1例

脾膿瘍を生じたサイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)感染を合併した潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)の1例を経験した.症例は75歳の男性で,高熱を伴う敗血症状態で救急搬送されてきた.腹部CT検査で脾膿瘍を認め,大腸憩室穿孔等を疑い大腸内視鏡検査を施行したが下行結腸脾弯曲付近より大腸壁の全周性硬化狭窄によりカメラの挿入が不可能でありウログラフィン造影で脾膿瘍に至る瘻孔を確認した.抗生剤投与でも膿瘍の沈静化が図れず,US下にドレナージを施行したが,なお瘻孔残存が持続するため口側の横行結腸に人工肛門を造設し瘻孔部を空置することにより,ようやく瘻孔閉鎖さ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 1; pp. 141 - 144
Main Authors 浅尾, 寧延, 高村, 宙二, 光吉, 一弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.141

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Summary:脾膿瘍を生じたサイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)感染を合併した潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)の1例を経験した.症例は75歳の男性で,高熱を伴う敗血症状態で救急搬送されてきた.腹部CT検査で脾膿瘍を認め,大腸憩室穿孔等を疑い大腸内視鏡検査を施行したが下行結腸脾弯曲付近より大腸壁の全周性硬化狭窄によりカメラの挿入が不可能でありウログラフィン造影で脾膿瘍に至る瘻孔を確認した.抗生剤投与でも膿瘍の沈静化が図れず,US下にドレナージを施行したが,なお瘻孔残存が持続するため口側の横行結腸に人工肛門を造設し瘻孔部を空置することにより,ようやく瘻孔閉鎖さらに脾膿瘍が消失した.2期的に狭窄部大腸を切除する人工肛門閉鎖術を脾臓温存して施行したが,切除標本よりCMV感染を合併したUCであることが判明した.CMV感染を合併したUCでは時に潰瘍や瘻孔形成することがあり,念頭におき診断および治療にあたるべきと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.141