左腎静脈原発平滑筋肉腫の1例

症例は68歳,女性.左腰痛の精査目的に行われた造影CTで,大動脈左側に約20mmの腫瘤を認めた.半年後のCTで28mmに増大を認め,当院紹介となった.超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)を施行したところ,平滑筋肉腫が疑われ,明らかな転移所見はなく,切除術を施行した.腹腔鏡下アプローチにて左腎静脈,左卵巣静脈を確認した.腫瘍は左腎静脈から剥離できず,開腹移行したのち左腎静脈合併切除とした.左卵巣静脈は温存できたため,左腎は温存した.術後病理検査で異型を伴う紡錘形細胞の増殖を認め,免疫染色ではα-smooth muscle actine,caldesmonおよびdesminは陽性であり,左腎...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 10; pp. 2128 - 2133
Main Authors 林, 圭吾, 砂川, 宏樹, 大森, 敬太, 鈴木, 研裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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Summary:症例は68歳,女性.左腰痛の精査目的に行われた造影CTで,大動脈左側に約20mmの腫瘤を認めた.半年後のCTで28mmに増大を認め,当院紹介となった.超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)を施行したところ,平滑筋肉腫が疑われ,明らかな転移所見はなく,切除術を施行した.腹腔鏡下アプローチにて左腎静脈,左卵巣静脈を確認した.腫瘍は左腎静脈から剥離できず,開腹移行したのち左腎静脈合併切除とした.左卵巣静脈は温存できたため,左腎は温存した.術後病理検査で異型を伴う紡錘形細胞の増殖を認め,免疫染色ではα-smooth muscle actine,caldesmonおよびdesminは陽性であり,左腎静脈原発平滑筋肉腫の診断であった.術後経過は良好であり,術後8日目に退院となった.腎静脈原発の平滑筋肉腫は非常に稀な疾患であり,若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.2128