降下性壊死性縦隔炎術後の乳糜胸に対するオクトレオチドの使用経験

症例は77歳女性.頸部膿瘍,降下性壊死性縦隔炎に対して,気管切開の後に頸部膿瘍開放・ドレナージを施行,その後胸腔鏡下縦隔ドレナージを施行.大動脈弓より頭側の左上縦隔と気管分岐部より尾側の中縦隔の膿瘍を開放し,洗浄ドレナージを行った.術後5日目に乳糜胸と診断した.禁食・中心静脈栄養を行うも1日1000 ml以上のドレーン排液が続いた.術後12日目に胸腔鏡下に再手術を行い,術直後はドレーン排液が減少したが,再手術後1日目の夜より再び排液が増加した.再手術後2日目よりオクトレオチドの皮下投与(300 μg/日)を開始した.その後すみやかに排液は減少し,経口摂取再開後も乳糜胸の再発は認めなかった.降下...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 28; no. 1; pp. 69 - 74
Main Authors 青木, 稔, 石川, 浩之, 田中, 里奈, 堤, 奈央, 大竹, 洋介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2014
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.28.69

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Summary:症例は77歳女性.頸部膿瘍,降下性壊死性縦隔炎に対して,気管切開の後に頸部膿瘍開放・ドレナージを施行,その後胸腔鏡下縦隔ドレナージを施行.大動脈弓より頭側の左上縦隔と気管分岐部より尾側の中縦隔の膿瘍を開放し,洗浄ドレナージを行った.術後5日目に乳糜胸と診断した.禁食・中心静脈栄養を行うも1日1000 ml以上のドレーン排液が続いた.術後12日目に胸腔鏡下に再手術を行い,術直後はドレーン排液が減少したが,再手術後1日目の夜より再び排液が増加した.再手術後2日目よりオクトレオチドの皮下投与(300 μg/日)を開始した.その後すみやかに排液は減少し,経口摂取再開後も乳糜胸の再発は認めなかった.降下性壊死性縦隔炎は縦隔を広く切開し膿瘍を開放する必要があるため,乳糜胸も起こりうる合併症で注意すべきである.また,オクトレオチドは降下性壊死性縦隔炎術後の乳糜胸にも有用であった.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.28.69