胆嚢管走行把握後に腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った重複胆嚢の1例

症例は62歳の女性で,右季肋部痛の主訴に対して精査を行った.血液検査で炎症反応および肝胆道系酵素の上昇を認めた.腹部超音波検査で重複胆嚢・胆嚢胆石を認め,腹部造影CTでも重複胆嚢および片側の胆嚢のみに結石を認めた.Drip infusion cholangiography with CT(DIC-CT)で各胆嚢管が独立して肝外胆管に合流するBoyden分類のH型,Gross分類のB型に相当する重複胆嚢であった.重複胆嚢に生じた胆石症と診断し,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した. 重複胆嚢は稀な形態異常ではあるが,術前に診断できれば安全に手術を行うことが可能である.合併症を予防するためには,術前画像診...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 10; pp. 2312 - 2316
Main Authors 深見, 知之, 野口, 明則, 石井, 博道, 谷, 直樹, 山根, 哲郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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Summary:症例は62歳の女性で,右季肋部痛の主訴に対して精査を行った.血液検査で炎症反応および肝胆道系酵素の上昇を認めた.腹部超音波検査で重複胆嚢・胆嚢胆石を認め,腹部造影CTでも重複胆嚢および片側の胆嚢のみに結石を認めた.Drip infusion cholangiography with CT(DIC-CT)で各胆嚢管が独立して肝外胆管に合流するBoyden分類のH型,Gross分類のB型に相当する重複胆嚢であった.重複胆嚢に生じた胆石症と診断し,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した. 重複胆嚢は稀な形態異常ではあるが,術前に診断できれば安全に手術を行うことが可能である.合併症を予防するためには,術前画像診断で胆道形態を詳細に評価し,十分に把握しておくことが重要である.術前画像診断で胆嚢管の走行を確認できた報告は稀であり,本症例を報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.2312