鈍的腹部外傷による腸管・腸間膜損傷の臨床像と治療上の問題点

〔要旨〕過去12年6カ月間に当科で経験した鈍的腹部外傷による腸管・腸間膜損傷30例を対象として,臨床像と治療上の問題点を明らかにすることを目的として検討した。受傷機転では交通事故が24例(80%)で,シートベルト装着は22例であった。腸管損傷14例中5例(36%)は複数箇所の損傷であった。腸間膜損傷16例中8例(50%)は複数箇所の損傷であった。来院時または診察中にショック状態となった症例は9例(30%)であった。このうち後腹膜の大血管損傷の2例(1例は十二指腸損傷合併)および回結腸動脈からの出血でショック状態の1例は救命できなかった。一方,6例(20%)は受傷から9時間(中央値)が経過してか...

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Published inJapanese Journal of Acute Care Surgery Vol. 13; pp. 35 - 41
Main Authors 爲澤, 帆純, 宮下, 知治, 上田, 順彦, 高村, 博之, 飯沼, 由嗣, 永山, 太悟, 甲斐田, 大資, 藤田, 秀人, 本山, 翔太, 西木, 久史, 橋本, 明史, 宮田, 隆司, 三ノ宮, 優太, 三浦, 聖子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本Acute Care Surgery 学会 2023
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ISSN2436-102X
DOI10.50840/jjacs.13-11

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Summary:〔要旨〕過去12年6カ月間に当科で経験した鈍的腹部外傷による腸管・腸間膜損傷30例を対象として,臨床像と治療上の問題点を明らかにすることを目的として検討した。受傷機転では交通事故が24例(80%)で,シートベルト装着は22例であった。腸管損傷14例中5例(36%)は複数箇所の損傷であった。腸間膜損傷16例中8例(50%)は複数箇所の損傷であった。来院時または診察中にショック状態となった症例は9例(30%)であった。このうち後腹膜の大血管損傷の2例(1例は十二指腸損傷合併)および回結腸動脈からの出血でショック状態の1例は救命できなかった。一方,6例(20%)は受傷から9時間(中央値)が経過してから腹痛など症状が出現した。鈍的腹部外傷による腸管・腸間膜損傷の治療では後腹膜の大血管損傷の併存例,複数箇所の腸管損傷例,遅発性の症状発現例に注意して対応する必要がある。
ISSN:2436-102X
DOI:10.50840/jjacs.13-11