骨格性下顎前突症を伴う顎関節円板後方転位および前方転位に対し下顎枝垂直骨切り術が奏効した1例

「緒言」これまでに, 顎関節症状を有する症例に対する下顎枝垂直骨切り術の奏効例1-3), については報告されているが, そのほとんどは関節円板前方転位例についてであり, 後方転位に対する治験例は, われわれが渉猟し得た範囲において皆無である. 今回われわれは, 関節円板後方転位を有する骨格性下顎前突症に対し両側下顎枝垂直骨切り術を施行し, 関節円板位と顎関節症状の改善が得られた症例を経験したので報告する. 症例 患者:18歳, 女性 主訴:閉口障害 既往歴:特記事項なし 現病歴:9歳から15歳まで某矯正歯科にて矯正治療を行い14歳から約1年間, オトガイ帽装置を使用していた. 平成7年はじめよ...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 10; no. 1; pp. 38 - 44
Main Authors 鶴迫, 伸一, 鶴迫, 有子, 服部, 浩朋, 出村, 昇, 瀬上, 夏樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 2000
日本顎変形症学会
Subjects
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ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd1991.10.38

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Summary:「緒言」これまでに, 顎関節症状を有する症例に対する下顎枝垂直骨切り術の奏効例1-3), については報告されているが, そのほとんどは関節円板前方転位例についてであり, 後方転位に対する治験例は, われわれが渉猟し得た範囲において皆無である. 今回われわれは, 関節円板後方転位を有する骨格性下顎前突症に対し両側下顎枝垂直骨切り術を施行し, 関節円板位と顎関節症状の改善が得られた症例を経験したので報告する. 症例 患者:18歳, 女性 主訴:閉口障害 既往歴:特記事項なし 現病歴:9歳から15歳まで某矯正歯科にて矯正治療を行い14歳から約1年間, オトガイ帽装置を使用していた. 平成7年はじめより両側顎関節の雑音とあくびなどの際の大開口時に左側顎関節の疼痛とひっかかり感を伴う閉口障害を自覚するも患者自身により数回側方運動を行うことで閉口が可能であったためそのまま放置. 平成9年より閉口障害が頻発し自己整復は可能であったが某歯科医院を受診し紹介により平成10年2月6日当科受診となった. 現症:(全身所見)体格, 栄養は中等度 (顔貌所見)下顎前突およびオトガイの右偏を伴う顔面非対称を認めた(Fig. 1A, B).
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd1991.10.38