治癒過程を経時的に確認し得た外傷性肺囊胞の1例

転落外傷に伴う外傷性肺囊胞の1例を経験した.60歳代,男性.建設業.仕事中に脚立から転落し右胸部を強打され受診した.来院時,胸部X線及びCT画像では,右多発性肋骨骨折,右下葉に空洞を伴う浸潤影と肺内血腫がみられた.受傷機転及び画像所見から,本疾患と診断した.全身・呼吸状態は安定しており,外科的処置をせず,保存的治療により治癒した.受傷6ヵ月目の胸部CTでは,肺野の異常陰影は僅かな線状影を残し消失した.本症は鈍的な非開放性の胸部外傷に伴う肺挫傷にみられ,比較的稀な病態とされており,特別な治療を必要とせず短期間に治癒することが多い.合併損傷により病状も様々であるため,全身状態及び肺挫傷の程度を考慮...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 7; pp. 853 - 859
Main Authors 木村, 尚子, 原, 英則, 松岡, 弘泰, 宮内, 善広, 船津, 健太郎, 大貫, 雄一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.11.2018
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.32.853

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Summary:転落外傷に伴う外傷性肺囊胞の1例を経験した.60歳代,男性.建設業.仕事中に脚立から転落し右胸部を強打され受診した.来院時,胸部X線及びCT画像では,右多発性肋骨骨折,右下葉に空洞を伴う浸潤影と肺内血腫がみられた.受傷機転及び画像所見から,本疾患と診断した.全身・呼吸状態は安定しており,外科的処置をせず,保存的治療により治癒した.受傷6ヵ月目の胸部CTでは,肺野の異常陰影は僅かな線状影を残し消失した.本症は鈍的な非開放性の胸部外傷に伴う肺挫傷にみられ,比較的稀な病態とされており,特別な治療を必要とせず短期間に治癒することが多い.合併損傷により病状も様々であるため,全身状態及び肺挫傷の程度を考慮し,治療方針を検討することが重要である.本症の早期診断及び経時的観察における胸部CTの有用性が,改めて示唆された症例であった.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.32.853