肺癌と鑑別を要した孤立性乳頭腫の一切除例 ―本邦報告例78例の検討

症例は80歳代の男性.胃癌術前精査にて左肺下葉結節を指摘された.経過観察すると増大傾向にあり,FDG-PET CTで同部位にFDGの集積を認めた.血液検査にてSCCの上昇を認めた.TBLBでは確定診断に至らず,原発性肺癌cT1N0M0を疑って手術の方針となった.開胸時針生検での術中迅速診断でも悪性が否定できず,VATS左下葉切除を行った.永久標本で扁平上皮腺上皮性混合型の乳頭腫と診断された.癌化もなく,HPV感染も認めなかった.本邦における組織亜型について記載のある報告例78例を検討した.本疾患は肺癌との鑑別を要する場合があり注意を要するが,完全切除により根治できると思われる....

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 7; pp. 792 - 798
Main Authors 中島, 拓也, 唐沢, 知之, 安東, 沙和, 下山, 武彦, 布村, 眞季, 木村, 文平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.11.2018
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.32.792

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Summary:症例は80歳代の男性.胃癌術前精査にて左肺下葉結節を指摘された.経過観察すると増大傾向にあり,FDG-PET CTで同部位にFDGの集積を認めた.血液検査にてSCCの上昇を認めた.TBLBでは確定診断に至らず,原発性肺癌cT1N0M0を疑って手術の方針となった.開胸時針生検での術中迅速診断でも悪性が否定できず,VATS左下葉切除を行った.永久標本で扁平上皮腺上皮性混合型の乳頭腫と診断された.癌化もなく,HPV感染も認めなかった.本邦における組織亜型について記載のある報告例78例を検討した.本疾患は肺癌との鑑別を要する場合があり注意を要するが,完全切除により根治できると思われる.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.32.792