9年の経過を追えた巨大肋骨原発線維性骨異形成の1切除例

症例は71歳男性,咳嗽を主訴に近医を受診.胸部X線写真上,右上肺野に巨大な腫瘤を認め当院へ紹介受診となった.他院で9年前に右肋骨腫瘍を指摘されていたが,2年で経過観察から外れていた.胸部X線写真上,9年前の腫瘍は8.4×6.5 cmであったが,受診時は16.4×13.4 cmであった.後側方切開で手術を施行.第2肋骨全摘および第3肋骨の部分切除を行い,腫瘍を摘出した.術後合併症は認めなかった.術後病理検査でも骨線維性異形成で,悪性転化は認めなかった.骨線維性異形成は一般的な良性腫瘍で,無症状なら保存的治療が行われる.四肢の長管骨に発生した場合,切除による機能障害の可能性から切除をためらうことも...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 6; pp. 683 - 687
Main Authors 眞田, 宗, 柴田, 英克, 鈴木, 実
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.09.2022
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.36.683

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Summary:症例は71歳男性,咳嗽を主訴に近医を受診.胸部X線写真上,右上肺野に巨大な腫瘤を認め当院へ紹介受診となった.他院で9年前に右肋骨腫瘍を指摘されていたが,2年で経過観察から外れていた.胸部X線写真上,9年前の腫瘍は8.4×6.5 cmであったが,受診時は16.4×13.4 cmであった.後側方切開で手術を施行.第2肋骨全摘および第3肋骨の部分切除を行い,腫瘍を摘出した.術後合併症は認めなかった.術後病理検査でも骨線維性異形成で,悪性転化は認めなかった.骨線維性異形成は一般的な良性腫瘍で,無症状なら保存的治療が行われる.四肢の長管骨に発生した場合,切除による機能障害の可能性から切除をためらうこともあるが,肋骨に発生した場合は,切除による機能障害は大きなものではない.増大してからの切除は侵襲が大きくなり,また,悪性転化の可能性もある.よって,肋骨発生の骨線維性異形成は積極的に切除を行うべきである.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.36.683