特発性中部食道破裂の1例

症例は80歳,女性.2012年4月,朝食摂取後にむせが続くとのことで当院救急センター受診.受診時,背部痛を訴えたため胸腹部造影CT検査を施行したところ,縦隔気腫・右胸水を認めた.食道造影で気管分岐部やや尾側の中部食道より右胸腔内への造影剤漏出を認め,特発性食道破裂と診断し,緊急手術の方針となった.右開胸で手術開始,気管分岐部より約2cm尾側の食道右壁に3cm大の穿孔部位を認めた.穿孔部は単純縫合閉鎖の後,胸膜パッチで被覆し,胃瘻を造設して手術を終了した.術後縫合不全を発症したが,保存的加療で軽快した.特発性食道破裂は下部食道が90%と大部分を占め,中部食道の破裂の報告は少ない.手術に際しては縫...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 6; pp. 1542 - 1546
Main Authors 山口, 和盛, 伊藤, 雅, 九十九, 悠太, 河本, 和幸, 小笠原, 敬三, 高木, 弘誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.1542

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Summary:症例は80歳,女性.2012年4月,朝食摂取後にむせが続くとのことで当院救急センター受診.受診時,背部痛を訴えたため胸腹部造影CT検査を施行したところ,縦隔気腫・右胸水を認めた.食道造影で気管分岐部やや尾側の中部食道より右胸腔内への造影剤漏出を認め,特発性食道破裂と診断し,緊急手術の方針となった.右開胸で手術開始,気管分岐部より約2cm尾側の食道右壁に3cm大の穿孔部位を認めた.穿孔部は単純縫合閉鎖の後,胸膜パッチで被覆し,胃瘻を造設して手術を終了した.術後縫合不全を発症したが,保存的加療で軽快した.特発性食道破裂は下部食道が90%と大部分を占め,中部食道の破裂の報告は少ない.手術に際しては縫合不全の発症率が高いことを考慮し,単純縫合閉鎖ではなく,何らかの組織で閉鎖部を被覆することが必要であり,術後栄養管理には胃瘻または腸瘻造設が有効と考える.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.1542